家を建てるには、土地がなきゃいかん。
当たり前の話やな。
そやけど、せっかく買った土地のほとんどを家が占めてしまうのを残念に思ったことはないやろか。
あんまり当たり前過ぎて、考えたこともないわ、というのが多いかもしれんね。
もちろん、その上に新たな価値として居室ができるわけやけど、なんぼ快適な居室でも狭い庭を眺めるたびに、「もっと庭がほしいな〜」って思うようになっては消化不良で身体に悪い。
そこで、それを解決できる屋上(ルーフバルコニー)について考えてみよう。
屋上のメリット・デメリットについては、多くの人が語り尽くしてくれているので、そのことを改めて紹介するつもりはない。
ここでは、切り口を変えて屋上の不動産的価値について語ろうと思う。
冒頭で述べたように、建物を建てると土地面積が減る。
しかし、減った土地面積を屋上で取り戻せるとなれば、それに係るコストや価値の見方が変わるんやないやろか。
敷地が広く、十分な庭が確保できるようであれば、あえて屋上を作る必要はない。
しかし、敷地が狭い、つまり地価が高く十分な庭面積を確保できない場合は、建物で減った敷地をカバーできる屋上には、土地の坪単価相当の価値がある。
プライベートなアウトドア空間などのメリットを考慮した場合、土地の坪単価以上かもしれん。
もちろん、単独では売買対象とはならない不動産やが、建物の付加価値としては、最高のものやと思う。
そんな付加価値のある屋上だが、木造住宅で普通にできるようになったのは、2000年にスタートした「住宅の品質確保の促進に関する法律(品確法)」以降のことになる。
それ以前は、建築基準法では規制されていないのに、建築確認申請で建築主事が難色を示し、受け付けてくれんかった。
理由は、柔らかい構造の木造では耐震性や雨漏りに問題があるとの判断で、鉄骨造やコンクリート造では認められていた。
どういうことかと言うと、四角い形の屋上平面を想像してほしい。梁で組まれた四角形の
骨組みだけでは、簡単にひし形に変形してしまう。それを防ぐものとしては、火打ち梁(ひうちばり)と言うのが昔からある。
しかし、それだけでは地震時などに四角い形状をそのまま維持することは難しく、部分的には変形してしまう。
当然、その上に張られた下地材や防水材も変形し、雨漏りの原因となる。そのことを、行政は危惧した訳だ。
火打ち梁以上に効果があるのは、梁で組まれた四角形全面に厚手の構造用合板を張る方法で、一般的に剛床(ごうしょう)と言われている。
木造住宅に剛床が普及してきた背景には、品確法の中で剛床か否かを確認する計算方法が示されたことがある。
さらに、1995年の阪神淡路大震災の影響も大きい。この震災の時ツーバイフォーの6面体構造が注目された。
柱や梁などで組まれた立方体の骨組みを構造用合板などで包み込むことで、サイコロ状の6面体となり、地震時にも垂直面(壁)や水平面(床)の揺れとねじれを防いでくれる。
いずれにしても、屋上に必要な構造耐力が比較的簡単に確認できるようになって、木造住宅の屋上が普通にできるようになった訳だ。
日光浴や夕陽を見ながらのバーベキュー、あるいはドッグランにしてもええ。屋上にはそんな魅力がある。
屋上を作るための基本的なコストは、標準的な勾配屋根と比べても、それほどの差はない。
差額がでるとすれば、多くは仕上材のウッドデッキや手すりなどのグレードによるもので、プライベートなアウトドア空間の快適さを考えれば、十分にコストパフォーマンスの高いものといえるだろう。
何よりも、土地を取り戻すと考えれば、屋上コストなど安いもんや。
ビバ!ルーフバルコニー!