この前家の近くを散歩していたら、不動産屋さんの前に「売却物件絶賛募集中!」のポスターがデカデカと貼られているのを目にしました。たださえこの辺は人が多いのですが、これからさらに駅周辺の再開発が進むのでその影響でマンションが軒並み爆売れしまくっているそうです。
不動産投資というとつい最近までは金持ち稼業のイメージがありましたが、今や身近な資産運用の一つになっています。いわゆる普通のサラリーマンもドシドシやっている時代です(とはいえ、貧乏人ではおそらく無理なので金持ちに変わりはないのでしょうが・・)。
ある知り合いのパワーカップルもこの辺のマンションを投資用に買い、賃貸に出してなかなかの収入になっているなんて話をしていました。一見とても不動産投資なんて手を出さなそうな座布団とこたつが似合う素朴なカップルなのですが、いろんな話を聞くと「むむむ・・」と思わずつぶやきたくなるような攻めた生き方をしている模様。
そんな彼女らが「家賃収入も良いんだけど、減価償却は地味においしいのよ。」とさらっと話していたのが耳に残ってしまったので、今回は減価償却費についてお話ししていきたいと思います。
減価償却費はよく魔法の経費なんていわれていますが、なぜそんな呼び方をされているかというと実際には支出がないのに帳簿上では経費として計上できるから。魔法というか幽霊みたいだなと思ったりもしますが。
不動産投資の3大経費に君臨する減価償却費は(残りの2つは固定資産税とローン金利でございます)経費のなかでもかなり多くを占めるもので、物件によっては3割なんてこともざらです。
この減価償却費をうまく操れるようになれば税金を操れるようになり、晴れて魔法使いの仲間入りとなるわけですので、ぜひともその魔術は習得しておきたいところ。
減価償却マジックは文字だけで説明してもただただ煩わしいだけですので、質疑応答形式に表を交えて見ていくことにします。
質問①
減価償却って何?
回答
使っていくに連れて劣化していく資産の価値を経費として計上すること=物件購入価格を分割で経費計上すること。
質問②
減価償却費の計算式を教えて
回答
建物価格×償却率
質問③
ちょっと待って、建物価格だけなわけ?
回答
そうです、土地は劣化しませんので。
質問④
よく考えたら建物価格なんて知らんわ.
回答
計算してください、これで。
→建物価格=物件購入価格×(建物部分の固定資産税評価額÷物件の固定資産税評価額)
またはこれでも計算できます。
→建物価格=物件購入時に課税された消費税の金額×(1.1÷0.1)
※税制改正により2007年4月1日以降に購入した物件については定額法が基準となっていることから、定額法の計算式をご紹介してます。
質問⑤
償却率も知らんわ
回答
償却率は建物の種類、耐用年数、建物を取得した時期によります。
ぜひこの表でご自分の建物の償却率(定額法版ですのであしからず)を調べてみてください。
質問⑥
これ新築の場合だよね、おれ中古買ったんだけど
回答
存じてます、これで中古の場合の耐用年数を計算して上の表で償却率を調べてください。
1)築年数が耐用年数以下
→(法定耐用年数ー築年数)+築年数×0.2
2)築年数が耐用年数をオーバーしてる
→法定耐用年数×0.2
質問⑦
計算ばっかでめんどくさいわ。シミュレーションしてくれない?
回答
では減価償却がどう節税になるのか、シミュレーションしてみます。
この▲20万円の損益を給与所得と損益通算することで、全体の課税所得を少なくできます。課税所得が少なくなれば所得税と住民税も少なくなるので、これは非常に魅力的です。
減価償却、けっこうなマジシャンですね。
さらに減価償却イリュージョンを体感したいなら、実は必殺技があります。
それはずばり、「建物本体」と「建物設備(キッチンやお風呂、トイレといった給排水設備などのこと)」を分けて減価償却すること。
設備部分は耐用年数が15年と建物本体よりも短いので、上乗せして計上しちゃおうぜという算段です。
ただし設備の減価償却が終わったあとは本体のみになるので、上乗せした分減価償却費は少なくなります。なので短い期間で多めに計上したいなら分けて、少なくても長期間計上したいなら分けないのが良いですね。
減価償却マジック、なかなかのおいしいやつでした。