11月26日に第23回公判が東京地裁立川支部で行われた、座間9人殺害事件。同公判ではこの事件の犯人である白石隆浩被告(30)に死刑が求刑され、事件の残忍さが再び世間の注目を集めています。
2017年10月に発覚したこの連続殺人事件は、被告がSNSを介して知り合った自殺願望を持つ女性とその知人男性を神奈川県座間市の単身者用アパートの一室で殺害し、遺体を解体遺棄したという過去に例を見ない凄惨な事件です。
座間殺害事件の報道を見て、このアパートのその後を案じた大家さんも多いのではないでしょうか。このような事件が起きてしまえば、不動産運営は一瞬にして暗転しまうのが目に見えています。そこで今回は、日本中の人が知る有名な事故物件となった座間市のアパートのその後について見ていきたいと思います。
現場アパートの場所は相武台前駅から徒歩10分圏内
事件現場となった神奈川県座間市のアパートは、小田急小田原線の相武台前駅から徒歩8分程度の場所にあります。アパートでは事件発覚前から被告の部屋から漂う異臭が入居者の間で問題視されていたそうで、入居に対し注意喚起する投稿もあったとか。
物件は築30年のごくごく一般的な2階建ての単身者向けアパートで、間取りはロフト付きワンルーム。大家さんは、なんとあの有名なプロボクサーの井上尚弥さんのお父さんだそうです。
出典:デイリー新潮
出典:デイリー新潮
このアパートは家賃保証会社が管理していましたが事故物件となってしまったため、事件後の家賃保証は当然ないでしょう。さらにただの事故物件ではなく日本中の誰もが知る連続殺人事件の現場となってしまった物件ですので、今後は解体する方向で進んでいくというのが大方の予想でした。
事件後は入居者から「住み続けたいから解体しないで」の問い合わせ多数
退去者が相次ぐだろうとの予想に反し、事件発覚後の退去者はなんとゼロ。さらには新たな入居希望者まで現れているというのだから驚きです。事件後管理会社はこのアパートの一般募集を取りやめていたそうですが、家賃の安さに惹かれ問い合わせてくる人が何人かいたとのこと。
報道では家賃2万円という安さが度々クローズアップされていましたが、アパートがある小田急小田原線相武台前駅周辺は家賃水準が非常に低いエリアで、2万円という家賃帯は学生向けアパートならいたって普通。
そのため事件現場となったことを鑑みて家賃を下げたところで集客効果は見込めないだろうと不安視されていましたが、実際は杞憂に終わりました。
週刊誌の記者がアパートの入居者の方になぜ事件後も退去せず住み続けるのかと聞いたところ、
・引っ越し先を検討したものの他に良い物件がない
・引っ越すのが面倒くさい
・家賃を3,000円下げてもらった
ということをその理由として答えていて、「住むことに抵抗がないわけではないにしろ、もともとアパートの住み心地にかなり満足していて離れたくない」というのが本心のようです。
事故物件化してもそれでも気に入って住み続けてくれる入居者がいることは、大家冥利に尽きますね。実際大家もこの入居者の声を驚きながらも非常に喜んでいて、入居者が残っている限りはできるだけ建て替えずに運営していく考えだそうです。
悲惨な事件ではあるものの、オカルト的な気味悪さがないことが入居者離れ回避の要因?
事故物件公示サイト大島てるを運営する大島てるさんは、デイリー新潮のインタビューで「一部屋で9人の殺害は知り限りでは最多であるものの、一個人の犯行であることを考えるとオカルト的な恐怖は感じない」と答えています。
確かに同じ部屋で立て続けに別の人物による自殺や他殺が相次いだ方が、何か見えない力が働いているのかと気味が悪くてとても住む気にはなれないかもしれません。とはいえ大家としては自殺も他殺も起こらないに越したことはないわけで、座間事件をきっかけに改めて不動産投資はつくづくリスキーでギャンブルだと気づかされた面々も多いでしょう。不動産投資家としては、座間事件を教訓にリスク管理を今一度見直していきたいものですね。