投資によってお金持ちになった人の中には、金にとっても狡い人がいます。その狡さゆえに人が離れていって、お金持ちなのに寂しそうな人もいます。
「金に狡いからお金持ちになったのか? 狡くて孤独でもお金持ちは幸せか?」
私はこれを、「不動産投資における『ウサギとカメ』問題」と名付けました。
さて、投資でお金持ちになった人の多くは、ポイントやマイルを貯めることに情熱を注いでいます。
全ての支払いは当然、カード決済です。カード決済できない時には、「手数料負担するから、機械導入して」と平然と言い放ち、あたかもそれがスマートな投資家のように振る舞います。
確かに手数料は全て経費になり、貯まったポイントは個人で使い放題のため、投資の観点から見れば正しいのでしょう。でも、たかがポイントのためにムリを押し通すその姿は、スマートな投資家というよりは、滑稽な厄介者に思えます。
当然、リフォーム、税務、登記など、不動産投資に関わる業者選びも、全ても安さで選びます。人情や慈悲の気持ちはありません。仲間意識やチームワークも不要です。結果を出すために広告料は積みますが、成果が見えにくい管理業務は、当然のように値切ります。そこまでストイックに、自分以外を切り捨てて突き進めば、だいたいは金持ちになっています。
金に狡いからこそお金持ちになった投資家は、何人も知っています。
そして同時に、お金持ちだけど孤独な投資家も、よく知っています。
余裕がない人、あそびがない人の周りに、人は近寄りません。楽しくないし疲れるからです。
仲間意識やチームワークを軽んじる人の周りにも、人は近寄りません。自分がコマにされるのはごめんだからです。
多分、みなさんも同じでしょう?
不動産投資は、いうほど合理主義なビジネスではありません。入居者、管理会社、仲介会社、リフォーム業者、売買業者、金融機関担当者などなど、多くの人と関わります。
時には回り道をしながら、「持ちつ持たれつの関係性」を作り上げていく、そんなアナログなビジネスです。単価計算だけで作ったビジネスライクな関係性では、長く維持は出来ないのです。
さて、「不動産投資における『ウサギとカメ』問題」です。
ウサギのように、最短距離で山をかけ登っていく投資家をみると、輝かしい成功者に思えます。でも、人を蹴散らしながら登っていった先に、本当の成功があるかは分かりません。
逆に、カメのように回り道ばかりしていると、はたして頂上にたどり着けるのかと、不安になることも正直あります。人生はそう長くありません。周りの景色を楽しんでばかりいて、前進できないのも困りものです。
ウサギとカメの間の、絶妙なポジションはどこなのか?
猿なのか、鹿なのか、マングースなのか?
今日も、もっとも幸せなポジショニングを真剣に考えながら、山を登っている最中です。