ヴァンパイア(吸血鬼)が「銀の弾丸」でやっつけられているドラマや映画を一度は観たことがあると思う。有名なのがドラキュラ伯爵で、美女だけに噛みついとった。
もちろん、フィクション・ファンタジーの世界やが、吸血鬼の伝説や伝承の歴史は古く、4世紀ごろの東ヨーロッパから伝わったらしい。
興味深いのは、そのころから「吸血鬼は銀を恐れる」とされていたことや。ただし、ヨーロッパで鉄砲が使われだしたのは15世紀やから、銀を弾丸にして使う伝説は、その頃からのことだろう。通常の弾丸では死なないが、銀の弾丸なら射殺できるらしい。
さて、本題はここからや。数年前から住宅設備に「抗菌仕様」と言うのが増えてきとる。
この抗菌に、銀が使われているのをみんなは知ってたかな?わしは知らんかった。正確には銀から発生されるイオンに効果があって、細菌だけやなくウィルスにも効くらしい。
吸血鬼に噛まれたら、噛まれた人間も吸血鬼になるらしいから、伝染するということではウィルスと同じやな。それに、新型コロナの感染源がコウモリと言う噂も、なにやら吸血コウモリを思い浮かばせ意味深で気持ちわるい。
科学的な根拠はもちろんのことやが、細菌やウィルスの存在も知られていない時代から、銀に殺菌・抗菌の効果があることを知ってたなんて、不思議や。さかのぼれば、紀元前の古代エジプトでも水の腐敗防止に銀が使われていたというから、銀の殺菌・抗菌の歴史はめちゃくちゃ古い。
そやけど、「銀って毒やないの?」と思う人が多いのやないやろか。わしもそんなイメージを持っとった。勘違いさせている大きな原因は、高度成長期に発生した水俣病やイタイイタイ病の原因が水銀化合物だったことにあると思う。
水銀(Hg)と銀(Ag)は全く別物で関連がなく、銀はWHO(世界保険機関)でも人体に影響のないものとして認定されとるらしい。
そう言えば、銀歯や銀食器などは普通に使われとるし、以前から台所の浄水器などにも使われているようや。
理屈は、マイナスに帯電している微生物(ウィルスを含む)に対して、プラスに帯電している銀イオンがくっつき、微生物の動きを止めたり破壊したりするらしい。
そやけど、目に見えん世界の科学は分からんから嫌いや。その点、建築は目で見て、手で触ることができるから、簡単で分かりやすい。単純なわしに向いとる。
銀イオンの効果があるのはコロナウィルスのほかにも、インフルエンザ、ノロウィルス、ヘルペス、HIVなどがある。
そんな銀イオンが使われている抗菌製品には、便器、蛇口、取っ手、窓ガラス、中には壁や床の内装製品にまで抗菌処理されたものがある。
コロナ禍で落ち着きを無くしている社会で、抗菌製品はこれからもますます増えてくると思う。すでに、コロナ対策としてアピールしてるメーカーもある。抜け目ないわ。
そやけどな〜、とわしは思う。過敏になりすぎるのは危険やで。昔、試験管ベイビーと言う言葉があった。今でも使われているかもしれん。要は、人工授精のことやが、人生まで実験室みたいな無菌室で過ごすのは考えものや。
自然界は、細菌やウィルスで満ち溢れとる。人間だけが細菌やウィルスのない世界で住むわけにはいかん。無菌室のような住宅で育つと、全く抵抗力のない人間になってしまうんやないかと、心配しとる。
設備機器やドアの取っ手などに抗菌製品を使う程度にしておいた方がええ。ええかげんな人間の生活に完璧な清潔を求めることは行動を狭くする。ほどほどがええよ。
最後に、ウィルスには生物にある細胞がなく、膜と核だけの構造で、生物に侵入せんと生きてられへんらしい。また、その構造が細菌を含めた他の生物とは全く異なることから、ウィルスは宇宙からの侵略者という設定のSFがある。
新型コロナ禍は、トゲトゲ頭のコロナ星人と人類との宇宙大戦争や。人類は防護服に身を固め、古代から伝わる銀の武器で戦う。「かかってこんかい!!」「負けへんぞ!」