3月初め、福岡県篠栗町で昨年4月に5歳の子供が餓死した事件で、実の母親の碇利恵被告(39)とママ友の赤堀恵美子被告(48)が保護責任者遺棄致死容疑で逮捕された。
2人は子供が同じ幼稚園に通う「ママ友」として知り合い親交を深めていったが、次第に赤堀被告は碇被告を洗脳し自分の思いのままに操るようになる。
赤堀被告は「ほかのママたちがあなたの悪口を言っている」とウソの話を持ちかけ、碇被告を疑心暗鬼にさせて言葉巧みに周囲から孤立させていった。
その後、赤堀被告は架空のトラブルをでっち上げては碇被告からその解決金として金銭を搾取していった。
さらには「碇被告の夫が浮気をしている」とウソをつき、碇被告に次々とありもしない話を吹きこんで金銭を搾取した挙句ついに離婚に追い込んだ。
赤堀被告の洗脳によって離婚に追い込まれた碇被告は、子供3人を連れてJR篠栗線篠栗駅から徒歩16分程度の場所にあるマンションに引っ越した。
築38年の7階建てマンションで間取りは3DK、家賃は5万円程度と比較的安く近隣には24時間営業のスーパーが点在しているなど生活利便性の高い人気の物件である。
事件直後は入居者募集の張り紙が貼られていたという近隣住民の情報もあったが、現在は事件を考慮してか、賃貸サイトでも募集中の部屋はなくなっている。
離婚後現金だけでなく預金通帳まで握った赤堀被告による碇家への支配は生活全般にまで及び、死亡した翔士郎ちゃんの幼稚園退園を指示。
さらには碇一家の食事量を制限するなどしてすべてを奪いつくした。
赤堀被告に生活費のほとんどを握られたことで碇家の生活はみるみる困窮。
食費だけでなく光熱費も払えず、電気やガスなども止められるようになった。
死亡時の翔士郎ちゃんの体重は同年齢の平均体重の半分程の10キロ前後しかなく、やせ細った体はあばら骨が浮き上がった状態だった。
何食わぬ顔で翔士郎ちゃんのお通夜に参列した赤堀被告は、たまたま電話してきた知人に対し碇被告のことを「バカ」と呼んで事の詳細を話したという。
赤堀被告の支配は翔士郎ちゃん死亡後も終わることはなく、毎月の生活保護費のほか翔士郎ちゃんの葬儀代までも搾取。
事件発覚までに赤堀被告がだまし取った金額は総額1,200万円にまで上った。
翔士郎ちゃん死亡後、赤堀被告は「まだまだ取れる」と踏んで監視を強めるためなのか、碇被告の自宅マンションから車で4分程度の場所にあるマンションへ引っ越した。
赤堀被告の新居は築18年の6階建てマンションで間取りは3LDK。
家賃は7万円程度で、篠栗駅まで徒歩9分程度と好立地にある物件だった。
碇被告から搾取した金はパチンコなどの遊行費や服などの購入費に充てられていたというが、実際にはそのほとんどは生活費に回っていたとする報道もある。
赤堀被告はすべての容疑を否認しているが、一方の碇被告は洗脳されていた事実とともに容疑をおおむね認めた。
碇被告は逮捕後もまだ自分が赤堀被告に騙されていたことに気づいておらず、警察の事情聴取で「初めて真実を知った」と話したという。
まさに骨までしゃぶりつくすような赤堀被告の支配を、なぜ碇被告は受け入れたのか、それには2人が「ママ友」としてだけではなく、「学会員」としてもつながっていたことで2重の主従関係があったことが関係している。
碇被告は赤堀被告に勧誘されて創価学会に入会。
学会員の中では立場的に赤堀被告の下となったことで、2人の関係はまさに教祖と信者のようなものになった。
結果的に碇被告は赤堀被告から逃れられない呪縛に陥り、自分でも全く気づくことなく赤堀被告の意のままに動いてしまったのである。